
「食事を変えれば妊娠しやすくなるの?」と感じている方は多いでしょう。答えはシンプルで、食事で子宮や卵子の環境を整えることは、着床のサポートにつながると考えられています。
受精卵が子宮内膜に根を下ろす「着床」という出来事は、妊娠成立の入口です。着床がうまくいくためには、子宮内膜の厚さ・血流・ホルモンバランス・免疫環境のすべてが整っている必要があります。そしてこれらはいずれも、日々の食事から摂る栄養素と深くつながっています。
この記事では、着床をサポートするために注目される栄養素と食べ物を具体的に解説します。控えたい食品や、食事と合わせて検討したいサプリメントについても紹介しますので、妊活中の食生活の見直しにご活用ください。
着床と食事の関係|なぜ食べ物が受精卵の着床に影響するのか

着床とは、卵巣から排卵された卵子が精子と受精し、受精卵(胚)が子宮内膜に定着するプロセスです。子宮内膜は月経周期に合わせてエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きで厚みを増し、受精卵を受け止める「ふかふかのベッド」のような状態になります。
着床が成立するためには主に以下の条件が関係します。
- 子宮内膜が十分な厚さ(一般に8mm以上が目安)であること
- 子宮への血流が良好で、内膜に栄養・酸素が届いていること
- エストロゲンやプロゲステロンのホルモンバランスが整っていること
- 免疫環境が受精卵を「異物」として排除しない状態であること
これらのすべてに、食事から摂る栄養素が関係しています。鉄分は子宮への血液供給を支え、葉酸は細胞分裂を助け、ビタミンDは免疫調整に関わることが研究で示されています。逆に、トランス脂肪酸や過剰な糖質はホルモンバランスや血流を乱す可能性があるとされています。
食事は「薬」ではありませんが、体の内側から着床しやすい環境づくりをサポートする重要な要素です。毎日の積み重ねが体の状態を変えていきます。
着床をサポートする栄養素と食べ物
着床との関連で特に注目される栄養素を、仕組みとともに解説します。特定の食品に偏るのではなく、バランスよく摂ることが基本です。

葉酸|細胞分裂と子宮内膜の成長に
葉酸はビタミンB群のひとつで、細胞のDNA合成や分裂に不可欠な栄養素です。子宮内膜は月経周期ごとに細胞が活発に増殖して厚くなるため、葉酸が不足すると内膜の正常な成長が妨げられる可能性があります。
また、葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減する効果が確認されています。厚生労働省は、妊娠を計画している女性に対し、通常の食事に加えてサプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しています(摂取開始の目安は妊娠1か月以上前から)。
| 食品 | 目安量 | 葉酸量(概算) |
|---|---|---|
| ほうれん草(生) | 1束(約200g) | 約420μg |
| 枝豆(冷凍) | 1/2カップ(約75g) | 約180μg |
| ブロッコリー(茹で) | 小房5〜6個(約100g) | 約120μg |
| アスパラガス | 3本(約90g) | 約108μg |
葉酸は熱に弱く、加熱すると損失しやすいため、蒸し調理やさっとゆでる方法が推奨されます。食事だけでは1日400μgを安定して摂取することが難しい場合は、サプリメントの活用も有効な選択肢です。詳しくは葉酸の多い食品一覧も参考にしてください。
ビタミンD|着床率との関連が研究で注目
ビタミンDは骨の健康だけでなく、免疫調整や細胞の成長にも関わる脂溶性ビタミンです。近年、生殖医療の分野でも着床との関連が注目されています。
複数の研究では、血中ビタミンD濃度が十分な女性ほど着床率・臨床妊娠率・出産率が高い傾向が報告されています。11論文・約2,700名のメタアナリシスでは、ビタミンD十分群の臨床妊娠率は不足群に比べてオッズ比1.46倍と有意に良好でした。また、子宮内膜にはビタミンDの受容体が存在することが確認されており、受精卵の着床環境に関与すると考えられています。
日本人女性は日照不足などの理由からビタミンDが不足しやすく、不妊治療中の女性の約83%がビタミンD不足・欠乏と分類されたとの報告もあります。
- ビタミンDを多く含む食品:鮭(生)・サバ・イワシ・マグロ・うなぎ・卵黄・きのこ類(特にきくらげ・しいたけ)
- 日光浴:1日15〜30分程度(季節・地域による)の日光浴で体内合成が期待される
食事と日光浴で補いにくい場合は、サプリメントによる補給も検討してみましょう。摂取量については医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。
鉄分|子宮への酸素供給を支える
鉄はヘモグロビンの主成分で、全身に酸素を運ぶ役割を担います。鉄分が不足すると子宮内膜への酸素・栄養の供給が滞り、内膜が育ちにくくなる可能性があります。月経で毎月鉄分が失われる女性は、特に意識して補充することが大切です。
| 種類 | 主な食品 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヘム鉄 | レバー・赤身肉・マグロ・かつお・あさり | 吸収率15〜25%と高い |
| 非ヘム鉄 | ほうれん草・小松菜・ひじき・豆腐・納豆 | 吸収率2〜5%だがビタミンCと一緒に摂ると上昇 |
コーヒーや紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるため、食事中や食後すぐの摂取は控えめにしましょう。
大豆イソフラボン(アグリコン型)|エストロゲン様作用で内膜を育てる
大豆イソフラボンは、子宮内膜を厚くする働きを持つ女性ホルモン「エストロゲン」と分子構造が似ており、体内でエストロゲン様の作用を発揮することが知られています。内膜の成長を穏やかにサポートし、着床しやすい環境づくりに役立つと期待されています。
大豆イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」があります。アグリコン型は消化管での分解過程を経ずにそのまま吸収され、グリコシド型に比べて吸収率が約3倍高いとされています。アグリコン型イソフラボンは、発酵食品(納豆・味噌)や発酵処理されたイソフラボン素材に多く含まれます。
- アグリコン型イソフラボンが豊富な食品:納豆・味噌・豆味噌
- その他の大豆製品:豆腐・豆乳・枝豆・きなこ
ただし、サプリメントなどによる過剰摂取はホルモンバランスを乱す可能性も指摘されています。食事からの摂取を基本とし、サプリメントを利用する際は適切な量を守ることが大切です。
タンパク質|卵子・子宮内膜の材料
タンパク質は体を構成するすべての細胞の材料であり、卵子や子宮内膜の細胞、さらには女性ホルモンの生成にも欠かせない栄養素です。タンパク質が不足するとホルモンバランスが乱れ、卵子の質や子宮内膜の成長に影響する可能性があります。
動物性と植物性のタンパク質をバランスよく摂ることが推奨されます。動物性タンパク質だけに偏ると飽和脂肪酸の摂りすぎにつながることもあるため、大豆製品・豆類も積極的に取り入れましょう。
- 動物性:鶏むね肉・卵・鮭・マグロ・牛赤身・乳製品
- 植物性:豆腐・納豆・豆乳・レンズ豆・ひよこ豆
ビタミンE・オメガ3脂肪酸|血流改善で子宮に栄養を届ける
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、強い抗酸化作用と血行促進作用を持ちます。末梢血管を広げて血流を改善し、子宮の隅々まで栄養を届けるサポートが期待されています。卵子や精子を活性酸素から守る効果も注目されています。
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は体内で合成できない必須脂肪酸です。抗炎症作用により子宮内の炎症環境を整え、血液をさらさらにして子宮への血流を促すと考えられています。ハーバード大学の研究では、血中EPA濃度が1%上昇するごとに妊娠率が10%、出産率が15%上昇したとの報告もあります。
| 栄養素 | 代表的な食品 |
|---|---|
| ビタミンE | アーモンド・アボカド・かぼちゃ・うなぎ・オリーブオイル |
| オメガ3脂肪酸 | 鮭・サバ・イワシ・さんま・えごま油・アマニ油・くるみ |
亜鉛|細胞分裂とホルモンバランスをサポートする
亜鉛は細胞分裂やDNA合成に関わるミネラルで、卵巣の機能維持やホルモン分泌の正常化に役立ちます。研究では亜鉛が子宮内膜を着床しやすい環境に整える作用が示されており、妊活において注目される成分のひとつです。
- 亜鉛を多く含む食品:牡蠣・豚レバー・牛赤身肉・カシューナッツ・チーズ・高野豆腐
- 吸収を高める方法:ビタミンCやクエン酸(レモン・酢など)と一緒に摂取
- 吸収を妨げるもの:コーヒー・緑茶のタンニン、過剰な食物繊維・フィチン酸
着床を妨げる可能性がある食べ物・飲み物

着床をサポートする食材を意識するとともに、内膜の成長やホルモンバランスを乱す可能性のある食品を控えることも大切です。
トランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング等)
マーガリンやショートニング、市販のクッキー・揚げ物に含まれるトランス脂肪酸は、ホルモンバランスを乱し不妊のリスクを高める可能性があるとされています。なるべく天然のオイル(オリーブオイル・ごま油・えごま油など)を選びましょう。
過剰な糖質・白砂糖・精製炭水化物
血糖値を急激に上昇させる食品(白砂糖・白米・菓子パン・清涼飲料水など)は、インスリンの過剰分泌を招き、ホルモンバランスの乱れにつながる可能性があります。また、体内でタンパク質と糖が結びついて生成されるAGE(終末糖化産物)は卵巣機能の低下と関連するとの指摘もあります。白米よりも玄米・雑穀米、白いパンより全粒粉パンを選ぶなど、糖質の「質」を意識しましょう。
アルコール
アルコールは生殖機能を低下させ、着床に関わるホルモン分泌に影響する可能性があります。妊娠を希望する場合は控えることが推奨されます。妊娠後は胎児への影響があるため禁酒が必要です。
過剰なカフェイン
カフェインには血管を収縮させる作用があり、過剰摂取は子宮への血流を妨げる可能性があります。また、鉄分の吸収を阻害することも知られています。コーヒーや紅茶は1日1〜2杯程度に抑え、ルイボスティーや麦茶などノンカフェインの飲み物に切り替えるのもよいでしょう。
体を冷やす食べ物・飲み物
冷たい飲み物やアイスクリームなどを頻繁に摂ると内臓が冷え、骨盤周りの血流が低下します。その結果、子宮内膜への栄養が届きにくくなる可能性があります。飲み物は常温や温かいものを選ぶよう心がけましょう。
着床期(高温期)に意識したい1日の食事のポイント

排卵後から月経前までの「高温期」は、受精卵の着床が起こる時期です。この時期は特に以下のポイントを意識した食事が、着床しやすい環境づくりのサポートに役立つとされています。
- 朝食を必ず食べる:朝食を抜くとホルモンバランスが乱れやすくなります。タンパク質(卵・豆腐など)を必ず含めましょう
- 体を温める食事:生姜・ねぎ・根菜類など体を内側から温める食材を積極的に取り入れる
- 鉄分+ビタミンCの組み合わせ:ほうれん草のソテー+ブロッコリー、赤身肉+パプリカのように組み合わせて摂取
- 青魚を週2〜3回:DHA・EPAの補給のため、鮭・サバ・イワシを意識して取り入れる
- 発酵食品を毎食に:納豆・味噌・ヨーグルトなど腸内環境を整える食品を毎日摂取
- 色とりどりの野菜:緑黄色野菜を1日350g以上を目安に(葉酸・ビタミンC・β-カロテンの補給)
着床期の献立例は妊活中のおすすめレシピ集も参考にしてみてください。
食事だけでは補いにくい栄養素はサプリメントで

葉酸・ビタミンD・鉄分・アグリコン型イソフラボンなどは、食事からの摂取が基本です。しかし現代の食生活では、これらを毎日必要量摂り続けることは簡単ではありません。そのような場合、サプリメントによる補給を検討することが有効な選択肢となります。
アンジェエールでは、妊活中の方に向けて開発された2種のサプリメントをご用意しています。オメガ3を効率よく摂取したい方はプロケア(オメガ3サプリ)の口コミもご覧ください。
アグリエ(AglyMax®アグリコン型イソフラボン)
アグリエは、吸収率が高いとされるAglyMax®(アグリコン型イソフラボン)を主成分に、ピクノジェノール(フランス海岸松樹皮エキス)とイノシトールを配合した妊活サポートサプリメントです。
- AglyMax®アグリコン型イソフラボン:エストロゲン様作用で子宮内膜の成長をサポートすることが期待されています。吸収率はグリコシド型の約3倍。
- ピクノジェノール:フランス海岸松の樹皮から抽出される天然ポリフェノール。強力な抗酸化作用と血行促進作用を持ち、卵子や子宮内膜を酸化ストレスからサポートすることが注目されています。
- イノシトール:卵子の質改善・インスリン抵抗性の改善に関連するとの研究があり、特にPCOSの方での活用が注目されています。体外受精での臨床妊娠率を高める可能性が示唆されています。
アンジェエール葉酸サプリ
アンジェエール葉酸サプリは、厚生労働省が推奨する480μgの葉酸を1日分に配合。さらに、109種類の植物発酵エキスと乳酸菌を含み、腸内環境のサポートも考慮した設計です。
- 葉酸480μg:神経管閉鎖障害のリスク低減に向け、厚生労働省推奨量(400μg)以上を配合
- 109種植物発酵エキス:多様な植物由来の栄養素を発酵により吸収しやすい形で摂取
- 乳酸菌:腸内環境を整えることで、栄養素の吸収効率のサポートに役立つと考えられています
サプリメントはあくまで食事の補助として活用するものです。摂取量や相互作用については、医師や薬剤師にご相談ください。
まとめ|着床しやすい体づくりは毎日の食事から
着床にいい食べ物は、特定の「魔法の食材」ではありません。葉酸・ビタミンD・鉄分・タンパク質・大豆イソフラボン・ビタミンE・オメガ3脂肪酸・亜鉛など、複数の栄養素がバランスよく体に届くことで、子宮内膜の成長や血流・ホルモンバランスが整い、着床しやすい体づくりにつながっていきます。
同時に、トランス脂肪酸・過剰な糖質・アルコール・過剰なカフェインなどを控えることも大切です。毎日の食事の質を少しずつ改善していくことが、長期的な妊活のサポートになります。
食事だけでは補いにくい栄養素については、目的に合ったサプリメントを賢く取り入れることも検討してみましょう。妊活中の食事や栄養については、かかりつけの産婦人科医・管理栄養士にも相談することをおすすめします。
着床をサポートする体づくり全般については妊娠しやすい体つくりの方法もあわせてご覧ください。
参考文献:
・Vitamin D and ART Outcomes(PMC 2025)
・成田病院 不妊治療中の食事
・文部科学省 食品成分データベース
※この記事で紹介するサプリメントは食品であり、医薬品ではありません。疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある方は医師にご相談ください。
