
「妊活中にビタミンDが大切」と聞いたことはありませんか。近年の研究で、ビタミンDは妊娠を目指す女性にとって欠かせない栄養素であることがわかってきました。
しかし、日本人女性の多くがビタミンD不足の状態にあるといわれています。この記事では、妊活におけるビタミンDの役割や期待される効果、効率的な摂り方までわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ビタミンDが妊活で注目される理由
- 研究で報告されている妊娠率との関係
- 日本人女性のビタミンD不足の実態
- 食事・日光浴・サプリでの効率的な摂り方
ビタミンDとは?妊活で注目される理由

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にする栄養素として知られています。しかし近年、生殖機能との深い関わりが研究で明らかになってきました。
ビタミンDには主に以下のような働きが報告されています。
- カルシウムの吸収促進:骨や歯の形成をサポート
- 免疫機能の調整:体の防御機能を正常に保つ
- ホルモン分泌への関与:生殖に関わるホルモンの分泌に関与するとされる
- 細胞の成長・分化:全身の細胞の正常な働きをサポート
子宮内膜や卵巣にはビタミンDの受容体(VDR)が存在し、妊娠に適した環境づくりに関わっていると考えられています。そのため、妊活中の女性にとってビタミンDの充足が重要視されるようになりました。
妊活とビタミンDの効果に関する研究データ

ビタミンDと妊娠の関係について、複数の研究が報告されています。卵子の質を上げる方法でも解説していますが、ビタミンDは卵巣機能のサポートにも関与すると考えられています。ここでは代表的なエビデンスを紹介します。
ビタミンD充足群は妊娠率が高い傾向
2023年に発表されたシステマティックレビュー・メタアナリシス(複数の研究を統合した分析)では、ビタミンDの補充によって不妊女性の臨床妊娠率が向上する可能性が示されました(参考文献1)。
また、生殖補助医療を受ける女性を対象とした研究では、血中ビタミンD濃度が30ng/mL以上の「充足群」は、不足群・欠乏群と比べて以下のような傾向が報告されています。
| ビタミンD状態 | 出生率 | 着床率 |
|---|---|---|
| 欠乏群(20ng/mL未満) | 23.2% | 低い傾向 |
| 不足群(20〜30ng/mL) | 27.0% | 中程度 |
| 充足群(30ng/mL以上) | 37.7% | 高い傾向 |
※上記は特定の研究における報告値であり、個人の結果を保証するものではありません。
流産リスクとの関連
Fertility and Sterility誌に掲載されたシステマティックレビューでは、妊娠前のビタミンD濃度が高い女性は、妊娠初期の流産リスクが低い傾向にあると報告されています(参考文献2)。
ただし、これらの研究はあくまで「関連性」を示したものであり、ビタミンDの摂取が直接的に妊娠率を高めると断定されたわけではありません。今後さらなる研究が期待されています。
日本人女性のビタミンD不足の実態

妊活中の女性にとって重要なビタミンDですが、日本人女性の多くが不足しているのが現状です。
約8割以上が「不足」または「欠乏」
不妊治療クリニックが実施した調査では、受診した女性の83.5%がビタミンD不足または欠乏の状態にあったと報告されています。
ビタミンD不足が起こりやすい主な理由は以下のとおりです。
- 日焼け対策の習慣化:紫外線を避けることで皮膚でのビタミンD生成が減少
- 室内での生活時間が長い:デスクワーク中心の生活で日光を浴びる機会が少ない
- 食事からの摂取不足:ビタミンDを多く含む魚やきのこの摂取量が減少
- 季節・地域の影響:冬季や北日本では紫外線量が少なく、体内合成が難しい
2018年の国民健康・栄養調査によると、妊婦のビタミンD摂取量の中央値は2.3μgで、当時の目安量8.5μgを大きく下回っていました。
血中濃度のチェックが可能
自分のビタミンD量を知るには、医療機関で血中25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)濃度を測定できます。不妊治療クリニックでは検査を行っているところも多いため、気になる方は主治医に相談してみましょう。
ビタミンDの1日の摂取目安量

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、ビタミンDの摂取目安量と上限量が以下のように定められています。
| 区分 | 目安量 | 耐容上限量 |
|---|---|---|
| 18歳以上の女性 | 9.0μg(360IU)/日 | 100μg(4,000IU)/日 |
| 妊婦 | 9.0μg(360IU)/日 | 100μg(4,000IU)/日 |
※2020年版では8.5μgでしたが、2025年版で9.0μgに引き上げられました。
なお、WHOはビタミンD欠乏症でない妊婦への過剰なサプリメント摂取は推奨していません。耐容上限量(100μg/日)を超えない範囲で、食事・日光浴・サプリメントをバランスよく組み合わせることが大切です。
ビタミンDを効率的に摂る方法【食事編】

ビタミンDは食事から摂取できますが、含まれる食品が限られているのが特徴です。効率よく摂れる食品を知っておきましょう。
ビタミンDが豊富な食品ランキング
| 食品名 | 1食あたりの目安量 | ビタミンD含有量 |
|---|---|---|
| 鮭(紅鮭) | 1切れ(80g) | 約26.4μg |
| さんま | 1尾(100g) | 約15.7μg |
| まいわし | 1尾(80g) | 約12.8μg |
| 干ししいたけ | 3個(6g) | 約1.0μg |
| きくらげ(乾燥) | 5g | 約4.3μg |
| 卵黄 | 1個分 | 約2.4μg |
※日本食品標準成分表(八訂)に基づく概算値
妊活中におすすめの取り入れ方
- 魚を週3回以上:鮭やさんまなど、1切れで1日の目安量をカバーできる
- きのこを毎日の汁物や副菜に:干ししいたけは天日干しにするとビタミンDが増加
- 卵を1日1個:ビタミンDは卵黄に含まれるため、全卵で摂取する
ビタミンDは脂溶性のため、油と一緒に調理すると吸収率がアップします。鮭のバター焼きや、きのこのオリーブオイル炒めなどがおすすめです。
妊活中の食事全般については、妊活中の食事で意識したいポイントもあわせてご覧ください。
ビタミンDを効率的に摂る方法【日光浴編】

ビタミンDは、紫外線を浴びることで皮膚で合成される珍しい栄養素です。食事だけでは不足しがちなため、適度な日光浴を組み合わせることが推奨されています。
季節別の日光浴の目安時間
国立環境研究所の研究によると、1日に必要なビタミンDを皮膚で合成するために必要な日光浴の時間は、季節や地域によって大きく異なります。
| 季節 | 目安時間(顔と手を露出) |
|---|---|
| 夏(7〜8月) | 約5〜10分 |
| 春・秋 | 約15〜30分 |
| 冬(12〜2月) | 約30分〜1時間以上 |
※関東地方(つくば)の正午付近での目安。北海道ではさらに長時間が必要です。
日光浴の実践ポイント
- 手のひら日光浴:手のひらはメラニン色素が少なく、日焼けしにくい部位。手のひらを太陽に向けるだけでも効果が期待できる
- 午前中がおすすめ:紫外線量が適度な午前9〜12時に行うのが理想的
- 窓越しでは不十分:ガラスはUVBを遮るため、屋外に出ることが大切
- 日焼け止めとの兼ね合い:全身に塗ると合成を妨げるため、手のひらや腕の一部は塗らずに短時間浴びる工夫を
ビタミンDを効率的に摂る方法【サプリメント編】

食事や日光浴だけでは十分なビタミンDを確保しにくい場合、サプリメントでの補給も選択肢のひとつです。
サプリメントを検討したい人
- 血液検査でビタミンD不足と診断された方
- 魚やきのこが苦手で食事からの摂取が難しい方
- 日焼け対策を徹底していて日光浴が難しい方
- 冬場や北日本在住で紫外線量が少ない方
サプリメント選びのポイント
- 含有量を確認:1日あたり10〜25μg(400〜1,000IU)程度のものが一般的
- ビタミンD3を選ぶ:動物由来のD3は植物由来のD2より体内利用効率が高いとされる
- 葉酸や鉄と一緒に摂れるタイプ:妊活中に必要な栄養素をまとめて補える
- GMP認証:品質管理基準をクリアした製品を選ぶ
妊活サプリの選び方について詳しくは、妊活サプリの選び方ガイドやおすすめ妊活サプリまとめも参考にしてください。
※サプリメントは食品であり、医薬品ではありません。効果には個人差があります。過剰摂取にならないよう、耐容上限量(100μg/日)を超えないよう注意しましょう。気になる症状がある場合は、医師にご相談ください。
ビタミンDと一緒に摂りたい妊活の栄養素

ビタミンDは単体ではなく、ほかの栄養素と組み合わせることで効率よく働くとされています。妊活中にあわせて意識したい栄養素を紹介します。
| 栄養素 | 期待される役割 | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| 葉酸 | 胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減 | ほうれん草、ブロッコリー、枝豆 |
| 鉄 | 酸素の運搬、貧血予防 | 赤身肉、あさり、小松菜 |
| 亜鉛 | 細胞分裂やホルモン分泌への関与 | 牡蠣、牛肉、ナッツ類 |
| カルシウム | ビタミンDと協力して骨の健康をサポート | 乳製品、小魚、豆腐 |
| オメガ3脂肪酸 | 炎症の調整に関与するとされる | 青魚(さば・いわし)、くるみ |
特に葉酸は、厚生労働省が妊娠を計画する女性に対して食事に加えてサプリメントからの摂取を推奨しています。詳しくは葉酸の多い食品まとめをご確認ください。
また、亜鉛もホルモン分泌や細胞分裂に関わる重要な栄養素です。詳しくは妊活に亜鉛が重要な理由をご覧ください。
また、着床しやすい体づくりのための食事については着床にいい食べ物の記事でも詳しく解説しています。
妊活中のビタミンDに関するよくある質問

Q. ビタミンDは男性の妊活にも関係がありますか?
A. はい。ビタミンDは男性の生殖機能にも関与するとされ、精子の質との関連を報告する研究もあります。パートナーとともにビタミンDの摂取を意識するとよいでしょう。
Q. ビタミンDの血中濃度はどれくらいが理想ですか?
A. 一般的に、血中25(OH)D濃度が30ng/mL以上が「充足」とされています。20ng/mL未満は「欠乏」、20〜30ng/mLは「不足」と判定されます。不妊治療クリニックで検査が可能です。
Q. ビタミンDを摂りすぎるとどうなりますか?
A. ビタミンDは脂溶性のため、過剰に摂取すると体内に蓄積されることがあります。高カルシウム血症や腎障害などのリスクがあるため、耐容上限量(1日100μg)を超えないよう注意しましょう。通常の食事と日光浴では過剰摂取の心配はほとんどありません。
Q. 妊娠がわかったあともビタミンDは摂ったほうがよいですか?
A. 妊娠中もビタミンDは必要な栄養素です。ただし、妊娠後のサプリメント摂取量については主治医と相談のうえで調整することをおすすめします。
まとめ:妊活中のビタミンDは「食事+日光浴+サプリ」で賢く補おう
ビタミンDは妊娠を目指す女性にとって重要な栄養素であり、研究でも妊娠率や着床率との関連が報告されています。しかし、日本人女性の8割以上がビタミンD不足という現状があります。
今日からできるアクションをまとめました。
- 魚を意識して食べる:鮭1切れで1日分のビタミンDをカバー
- 日光浴を習慣にする:1日5〜30分、手のひらからでもOK
- 不足が気になればサプリメントで補う:葉酸・鉄と一緒に摂れるタイプが便利
- 血液検査で自分の状態を把握する:不妊治療クリニックで測定可能
※サプリメントは食品であり、医薬品ではありません。効果には個人差があります。体調に不安がある場合は、必ず医師にご相談ください。
妊娠しやすい体つくりの基本についても、あわせてご覧ください。
自分に合った妊活サプリを探したい方は、ビタミンD配合の妊活サプリを探すもどうぞ。
参考文献
- Hu K, et al. “Influence of Vitamin D supplementation on reproductive outcomes of infertile patients: a systematic review and meta-analysis.” Reprod Biol Endocrinol. 2023;21(1):17. PubMed
- Tamblyn JA, et al. “Vitamin D and miscarriage: a systematic review and meta-analysis.” Fertil Steril. 2022. Fertility and Sterility
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 厚生労働省
- 国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」(2013年) 国立環境研究所
※この記事で紹介するサプリメントは食品であり、医薬品ではありません。疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある方は医師にご相談ください。
