
「子宮内フローラ」「腸活」「プロバイオティクス」——妊活をはじめると、乳酸菌に関する情報がたくさん目に入りますよね。なかでも特に注目されているのがラクトバチルスという善玉菌です。
2016年の研究(IVF患者を対象とした観察研究)では、子宮内のラクトバチルスが90%以上を占める群と90%未満の群で、生児獲得率に差が報告されています(Moreno I. et al., Am J Obstet Gynecol, 2016)。これらの研究はフローラの状態と妊娠転帰の相関を示すものであり、サプリメントの効果を証明するものではありません。
この記事では、ラクトバチルスの基礎知識から妊活・妊娠中・産後のライフステージ別ケア、サプリ選びのチェックリストまでを網羅的に解説します。

ラクトバチルスとは?女性の体を守る善玉菌
ラクトバチルス(Lactobacillus)とは、糖を分解して乳酸を産生する「乳酸菌」のなかで最も代表的なグループです。「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」とも呼ばれ、現在200種以上が分類されています。
ヒトの体内ではさまざまな細菌が共存していますが、ラクトバチルスは腸・腟・子宮で特に重要な役割を担っています。
| 生息部位 | 主な役割 |
|---|---|
| 腸(小腸〜大腸) | 栄養吸収のサポート、有害菌の増殖抑制 |
| 腟内 | 乳酸産生による酸性環境の維持、細菌性腟症の予防 |
| 子宮内 | 子宮内フローラの主要構成菌として存在する |
日本人女性に多い4種類
200種以上のラクトバチルスのうち、日本人女性の子宮内で特に多く検出されるのは以下の4種です(Varinos研究)。
- L. crispatus(クリスパタス):子宮内フローラで最も優勢とされ、妊娠率との好相関が最も多く報告されている種
- L. iners(イネルス):日本人女性で高頻度に検出されるが、環境変化に弱く、2023年の研究では着床率への悪影響も示唆されている
- L. gasseri(ガッセリ):腸・腟の両面でのサポートが注目されている
- L. jensenii(ジェンセニー):腟内で乳酸を産生し酸性環境を維持する
※サプリメントでよく使われるL. acidophilusやL. reuteriは腸内環境への影響が研究されている代表的な種です。

子宮内フローラとラクトバチルスの関係
かつて「子宮内は無菌」と考えられていましたが、近年の研究で子宮内にも独自の細菌叢(子宮内フローラ)が存在することが明らかになりました。
健康な子宮内フローラは、ラクトバチルス属が全体の90%以上を占めることが理想とされています。ラクトバチルスが産生する乳酸で子宮内が弱酸性に保たれ、有害菌の増殖が抑えられます。
腟内フローラとの違い
腟内と子宮内のフローラは必ずしも一致しません。腟内のラクトバチルスが豊富でも子宮内では少ないケースがあります。ただし、腟内環境を良好に保つことが子宮内環境の維持にもつながりやすいとされています。
子宮内フローラの状態を把握するには、EMMA検査(子宮内フローラ検査)が参考になります。気になる方は不妊専門クリニックに相談してみてください。子宮内フローラ検査の意味と受け方や子宮内の乳酸菌を増やす方法も合わせてご覧ください。
妊娠率・流産リスクへの影響(研究データ)

ラクトバチルスと妊娠の関係は、国際的な医学誌で複数報告されています。
| 研究内容 | 結果 | 出典 |
|---|---|---|
| IVF患者の子宮内フローラと妊娠転帰 | ラクトバチルス90%以上群:着床率60.7%・生児獲得率58.8%。90%未満群:着床率23.1%・生児獲得率6.7%(※IVF患者対象の観察研究。サプリメントの効果を示すものではありません) | Moreno I. et al., Am J Obstet Gynecol, 2016(PubMed) |
| ラクトバチルスの種別による着床率の違い | L. iners優勢群は着床率が最も低かった | 2023年メタ分析(PubMed) |
| 子宮内フローラの改善とIVF成績 | フローラの構成変化とIVF成績の関連が報告されている | J Assist Reprod Genet, 2025(Springer) |
これらの研究はIVF患者を対象とした観察研究であり、子宮内フローラの状態と妊娠転帰の相関を示すものです。乳酸菌サプリの摂取が妊娠率を向上させることを証明するものではありません。個人差が大きく、ラクトバチルスを増やせば妊娠の可能性を高めるというものではありません。あくまで子宮内環境を整えるための一要素として捉えることが大切です。
ラクトバチルスが減る原因とライフステージ別変化
ラクトバチルスは体の状態や生活習慣で変動します。以下がフローラバランスを乱す主な原因です。
- 抗生物質の服用:善玉菌も含め腸内・腟内の細菌が一時的に減少する
- ストレス・睡眠不足:腸内環境の乱れを介してフローラ全体に影響
- 偏食・食物繊維不足:乳酸菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維が不足
- 月経周期・ホルモン変動:エストロゲン低下期はラクトバチルスが減りやすい
- 過度な腟洗浄:腟内の善玉菌ごと洗い流してしまう
また、加齢に伴いラクトバチルスは減少傾向になるため、妊活開始のタイミングで意識的にケアを始めることが望ましいとされています。
妊活〜妊娠中のステージ別ラクトバチルスケア

妊活期(妊娠を考え始めた段階)
- 乳酸菌サプリやラクトフェリンの摂取を検討する
- 発酵食品(ヨーグルト・味噌・ぬか漬け等)を毎日の食事に取り入れる
- 気になる場合はEMMA検査で子宮内フローラの状態を確認する
- 葉酸サプリの摂取も同時に始める(厚労省推奨:1日400μg)
葉酸と乳酸菌を同時に摂れるサプリとしてアンジェエール葉酸サプリも選択肢のひとつです。
妊娠中(特に初期〜中期)
- 乳酸菌サプリの継続が望ましい(主治医に相談のうえ)
- 便秘対策として食物繊維・水分をしっかり摂る
- 抗生物質を使用した場合は、終了後にプロバイオティクスの補充を検討する
産後・授乳期
- 産後はホルモン変動で腟内フローラが乱れやすい
- 母乳にもラクトバチルスが含まれ、赤ちゃんの腸内環境形成に寄与するとされている
- 母体の腸活を継続し、母乳の質を支える
ラクトバチルスを増やす食べ物・生活習慣
積極的に摂りたい食品
| カテゴリ | 食品例 | 期待される作用 |
|---|---|---|
| プロバイオティクス食品 | ヨーグルト・キムチ・ぬか漬け・味噌 | 乳酸菌を直接補給 |
| プレバイオティクス食品 | 玉ねぎ・ごぼう・バナナ・オートミール | 乳酸菌のエサとなるオリゴ糖・食物繊維を供給 |
| 発酵食品 | 納豆・甘酒・チーズ | 腸内の善玉菌の多様性を高める |
日常生活で意識したいこと
- 7時間以上の睡眠を確保する(腸内環境は睡眠の質と連動する)
- 過度な腟洗浄を避ける(お湯で外陰部を軽く洗う程度で十分)
- ストレスをため込まない(適度な運動・入浴でリラックス)
- 抗生物質の使用後はプロバイオティクスの補充を検討する
乳酸菌サプリの選び方チェックリスト

サプリ選びの7つのチェックポイント
- 菌種の多様性:複数種のラクトバチルスやビフィズス菌が配合されているか
- 菌数:1日あたりの摂取目安で十分な菌数(数百億個以上が目安)が含まれるか
- 生きて届く工夫:腸溶性カプセルや耐酸性コーティングで胃酸から保護されているか
- プレバイオティクスの併用:オリゴ糖や食物繊維が一緒に配合されているか
- 安全性:GMP認定工場で製造されているか、添加物は最小限か
- 妊活・妊娠中の使用実績:妊活向けに設計されているか、妊娠中も継続可能か
- コストパフォーマンス:3ヶ月以上継続できる価格帯か
たとえばナノプラスは17種乳酸菌+5種ビフィズス菌を計5兆個配合しており、上記チェックポイントの多くを満たす選択肢のひとつです。詳細はナノプラス(乳酸菌サプリ)の口コミもあわせてご覧ください。
よくある質問(Q&A)
Q. ヨーグルトを毎日食べれば子宮内フローラも整いますか?
A. ヨーグルトは腸内環境のサポートに役立ちますが、腸と子宮のフローラは必ずしも連動しません。腸活は間接的なアプローチとして有効ですが、子宮内フローラを直接確認したい場合はEMMA検査が参考になります。
Q. 乳酸菌サプリはいつから飲み始めるべきですか?
A. 妊活を意識した段階から始めるのがおすすめです。腸内フローラの変化には一般的に2〜3ヶ月程度かかるとされているため、早めのスタートが望ましいでしょう。
Q. 妊娠中も乳酸菌サプリを続けて大丈夫ですか?
A. 一般的な乳酸菌サプリは妊娠中も継続可能とされていますが、必ず主治医に相談のうえ判断してください。
Q. ラクトバチルスが少ない原因は何ですか?
A. 主な原因は抗生物質の使用、ストレス、偏食、過度な腟洗浄、加齢に伴うホルモン変動などです。原因を一つひとつ取り除くことでフローラは改善に向かいやすくなります。
Q. ラクトバチルスとラクトフェリンの違いは?
A. ラクトバチルスは「乳酸菌そのもの」であり、ラクトフェリンは「母乳や唾液に含まれるタンパク質」です。ラクトフェリンには悪玉菌の増殖を抑える作用が報告されており、ラクトバチルスと併用する方も増えています。
Q. L. inersが多いと問題がありますか?
A. L. inersは日本人女性で多く検出される種ですが、2023年の研究では着床率への悪影響が示唆されています。L. crispatusが優勢な状態がより理想的とされています。ただし、個人差が大きいため、結果の解釈は専門医に相談することをおすすめします。
まとめ

- ラクトバチルスは子宮内フローラの中心的な善玉菌で、90%以上が理想
- 食事(発酵食品・食物繊維)+生活習慣の改善+サプリの活用でケアが可能
- 妊活期から始めて3ヶ月以上の継続が大切
乳酸菌ケアと並行して、葉酸や鉄分の摂取も妊活に大切な要素です。サプリメントを選ぶ際は、上記のチェックリストを参考に、自分に合ったものをお選びください。
また、腸内環境と着床の関係に興味のある方は着床にいい食べ物まとめも参考にしてください。妊活の基本については妊娠しやすい体つくりの基本もあわせてご覧ください。
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※サプリメントは食品であり、疾病の治療や予防を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医療機関を受診してください。
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※配合菌数が多いことが効果の大きさに直結するわけではありません。サプリメントは食品であり、医薬品ではありません。
参考文献
- Moreno I. et al. “Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure.” Am J Obstet Gynecol, 2016. PubMed
- “Impact of Lactobacillus in the uterine microbiota on in vitro fertilization outcomes.” 2023. PubMed
- Varinos “子宮内の乳酸菌を増やす方法” varinos.com
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」mhlw.go.jp
※この記事で紹介するサプリメントは食品であり、医薬品ではありません。疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安がある方は医師にご相談ください。
